近況
なんだかんだで,明日で厦門での滞在がちょうど半分終わろうとしている。
35日。
半分というと長いような短いような複雑な気持ちになるのだけれど,ここ最近はようやく調査の段取りが整って,いよいよ本調査ができるかどうかというところまで来ており,文章を書く時間を設ける余裕がなかった。
それに加えて,ここ3日間ぐらいで佐藤正午さんの小説『鳩の撃退法』をKindleで昼夜問わず隙あれば読んでいたことも余裕がなかった理由である。
久しぶりに日本の小説を読んだから,ページをめくる手が止まらず,上下巻を通読するのに3日もかからなかった。そう,普段意図的に小説には手を出さないようにしているのは,見境なく読み進めてしまうからで,今回のようなある程度自由に使える時間がある滞在には,小説を読むのにもってこいというわけである。
しかし,何かに夢中になるあまり,本職としての研究・調査がややおろそかになってしまっていたりもしたので,最近は少し焦っていた。今日・明日でおそらくその遅れは取り戻せるであろうという算段だから,なんとかはなるとは思うけれど。
最近は大学付近のスターバックスコーヒーで,何も言わずとも「美式珈琲?」と一番小さなカップを片手に言われるようにもなり,少しずつこの場所にも慣れてきてはいる。
ただ,寮の部屋に暖房が無いのがつらい。
相変わらず日中は日差しが強く暑いのだが,夜になると普通に10度前後になるため,部屋に暖房がないというのは快適からはほど遠い。
こちらの先生方の粋な計らいでいただいたビールがまだ数本残ってはいるのだけど,こんなことなら暑いうちに飲み干しおけばよかった…と,日々後悔しつつも震えながら飲んでいる。
もっぱら,暖房はウィスキーのストレートをショットグラス(と僕が称している,無印良品で入手したエッグスタンド)でグイっと飲むことで,飲んだのちに気まぐれな温度のお湯がでるシャワーを浴びたら,すぐさま布団にもぐり込む生活を送っている。
相変わらず,僕と関わりのあるこちらの学生さんたちはみんな親切で,本当に助かっている。
ただ,結局ひとりの時間を満喫するのもまた心地よいので,最近は毎日調査がバリバリと忙しいから遊べないという設定にしている。
あながち間違いではないから,ウソではない…だろう。だから孤独とかさみしいといった感情はあまりなく,それなりに順調に日々を過ごすことができている。
あとは調査が軌道に乗れば,さらに上機嫌だろう。いろいろ書きたいことはあるのだけど,しっかりと向き合う時間を設けるのが今は難しい。