歩く

 明日から鳥の本調査を始めるにあたって,ここ3日間は調査地の最終確認のための予備調査として,現地をずっと,歩いていた。

 

 

 総歩行距離はおよそ42キロ。今後,1月のアタマまで,毎日10キロ以上は歩くであろう生活が幕を開けようとしている。

 

 

 歩くことは嫌いではない。外出するとき,あるいは旅行中,少しの距離ならば絶対に歩こうとするし,これまで様々な場所で調査を実施してきた中で随分と歩いてきた。

 

 

 いかにして快適に,長時間歩行するのか。それを考えた末にNew Balanceのスニーカーを求めたし,結局は携行している荷物こそが阻害要因なのだと思い,手ぶらで調査を実施していた時期もある。

 

 

 普通に生活をしている中で,そこまで真剣に「歩く」ことについて考えはしないと思うが,面白いことに一日における総歩行距離が伸びれば伸びるほど,そしてその日数が増えれば増えるほど,「歩く」ことを切実に考えるようになるのだ。

 

 

 鳥の調査は,繁殖期(だいたい5月から7月ぐらい)と越冬期(12月から2月ぐらい)にかけて,対象とした空間において複数回実施することが多い。

 

 

 ひとつの空間において一回しか調査を行なわない,といった場合,その場所に出てもおかしくない種がその日はたまたま出現しなかった,というようなことも考えられる。

 

 

 偶然性を緩和するために,3回から8回ほど一箇所につき調査をする。その調査地が僕の場合,毎期,少ないときで30箇所程度,一番多かった時で130箇所ほど対象地として選定するため,否が応でもあらゆる場面で長距離歩く必要がある。

 

 

 思えば鳥の調査は(調査地の選定の基準にもよるが)長距離歩行とは切っても切り離せないのである。 

 

 

 僕は歩くことは嫌いではないが,どうも限度というものがあるらしい。16キロを一日で歩くだけならよいが,それが立て続けに何日も続くと,さすがにガタがくる。今日は少しバテたみたいで気づいたら昼寝をしてしまっていた。

 

 

 また「歩く」ことについて真剣に考えるシーズンの到来である。

 

 

 Kindleに土屋智哉の『ウルトラライトハイキング』(山と渓谷社,2017)という本を入れている。

 

 

 ハイキングのスタイルのひとつ,アメリカ発祥の「ウルトラライト」という概念を紹介する本である。

 

 

 その中で長距離歩くためのコツとして「ストライドではなくピッチを意識すること」というのがある。つまり小さな歩幅でリズミカルに歩くことが,長距離歩行をするうえでは大切らしい。さらなるコツも書いてあるが,まだ無理はしない。少しずつコツを身に着けよう。

 

 

 「歩く」ことが気になって,ここ厦門からAmazonでそれらしい書籍を検索したが,残念ながら電子版で入手できそうなものはなかった。面白そうなものをここに列挙しておこう。

 

 

 ・『ウォークス 歩くことの精神史』レベッカ・ソルニット著,東辻賢治郎訳(2017,左右社)

 

 ・『トレイルズ 「道」と歩くことの哲学』ロバート・ムーア著,岩崎晋也訳(2018,エイアンドエフ)

 

 ・『歩く』ヘンリー・ソロー著,山口昇訳(2013,ポプラ社

 

 

 明日からまた,自分の身をもって,「歩く」ことを考えてゆくのだろう。とりあえず怪我の無いように,無事に調査を終わらせられることを祈るばかり…。

 

 

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