旅と滞在
今回,大きく履き違えたなあと感じるのは,「旅」と「滞在」の違いである。
必要最低限のものだけを携行して,現地でいろいろなことを嗜むのが「旅」だとすれば,「滞在」はそこに日常とか生活の断片が組み込まれる余地がある状態のことをいうと思う。
今回,自分の持ってきたものを見返すと,調査・研究以外の時間を持て余している状況を鑑みると,どうみても「旅」を前提とした荷物量・気構えなのである。
2ヶ月ちょっとという期間は,「旅」ではなかったのだ。
だから,ここにきていわゆるホームシックという状態に陥っている。認めてしまおう,ホームシックなのだ,いつだって,帰りたいのだ。。。
こういう海外での単身での中・長期滞在というのは,おそらく向き・不向きがあるのだろう。僕は初めからわかっていたが,圧倒的に後者なのである。いろいろ騙し騙しでここまできたが,やっぱりしんどいものはしんどい。
だから,変に強がったり我慢したりするのではなく,一度認めてしまうことにした。
僕は,海外での生活はおそらく不向きであり,いまホームシックにかかっているぞ,と。
そこからがまたスタートで,では帰るまでにいかにして面白おかしく乗り越えていくべきなのか,考える段階にきていると思う。
折れさえしなければ,何度でもくじけたりいじけたりしてもいいのだ,折れさえしなければ。
何もただ苦しいだけではない,苦しい思いをする中で,自分にとって,自分の“生活”にとって“無くてはならないもの”がいったい何なのか,見えてくるものだとも悟った。
滞在は残すところあと30日。
決して短くはないが,もう半分を切っていると思えば,そこまで長いわけでもない。肩の力を抜いて,ゆるりと過ごせればと願うばかり。